美味しい店には情がある

2010年夏号掲載

小料理 三徳【中央区】

榎安子さん(昭和26年生まれ) 進さん(昭和34年生まれ)

榎安子さん・進さん

「うちの弟は癒し系の笑顔が魅力かな」という姉の安子さんと、「しっかり者の姉さんには逆らわれへんのです」と笑う8つ年下の弟・進さん。元は昭和29年創業の寿司屋。先代の父が亡くなった後、店を引き継ぎ「かていの味、ふれあいのみせ」として新たに出発した。が、一年後に震災で店は半壊に。落ち込んでいる間もなく「なんとかせな」と、すぐに再開へと動き出した。そのエネルギーの源は、父の店「三徳」の名前を守りたいという思い。常連さんにもずいぶん応援してもらった。「お客さんがいらっしゃる限り続けていきたい」と、姉弟で切り盛りする。

和え物、煮物、焼き物、揚げ物…カウンターに“家庭の味”がずらりと並ぶ。

1~12月、旬の魚を描いた先代の手作り時計。地震発生の5時47分で止まったままだ。

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