創刊から5年間を振り返る!!裕ちゃんを探せ!編集スタッフ座談会 みなさま、ありがとうございました!!

2010年春、創刊

坂野 本誌「裕ちゃんを探せ!」が、この冬号をもって一旦休刊することになりました。今日は編集に携わった皆さんにお集まりいただき、創刊から最新号まで5年間のお話を聞きたいと思います。誌面に書ききれなかった裏話などもよろしくお願いします。

樫野 創刊当時「後期高齢者」なんて言葉が話題となり、年をとるということに対しネガティブなイメージがありました。でも、周りを見ると、現役でバリバリ仕事を続けている方、リタイア後にボランティア活動など社会貢献している方、趣味の世界を極めている方…「高齢者」とか「お年寄り」とかいう言葉が似合わない、素敵な人たちがたくさんいる。そんな人生の先輩を紹介したいという思いで創刊しました。

創刊編集長 樫野 孝人
現編集長 坂野 雅

「裕ちゃん」って誰?

嘉納 そういうわけで「シニア」という言葉は使わないようにしました。じゃ、なんて呼ぶ?と考えて「裕ちゃんを探せ!」というタイトルに決まりました。60~80歳代の人たちののヒーローと言えば銀幕のスター「裕ちゃん」ですよね。そんなかっこいい「裕ちゃん」と、相手役で今も輝いている素敵な「ルリ子さん」を探そう!という意味なんです。創刊編集長の樫野さんのアイディアです。還暦が人生のひと区切りということで、神戸で活躍する60歳以上の方々をジャンルを問わず、取材することになりました。

坂野 僕も編集長の話をいただいた時は、どういう雑誌?と興味を持ちました。若い世代は「裕ちゃん」と言われてもなかなかピンときませんが、ユニークで素晴らしいタイトルですね。「神戸ひとマガジン」というサブタイトルもいいですね。フリーペーパーといえば、若い人向けのタウン情報誌が多いですが、60歳以上の「ひと」にフォーカスした雑誌は、まったく新しい挑戦といえます。

名人・達人…
すごい人が数珠つなぎ

樫野 創刊号は取材対象の方にお願いするのに苦労しましたね。知り合いに声をかけたり、親の友人を紹介してもらったり。二号目からは、登場した方から数珠つなぎにつながっていきました。本誌を読んでもらった人から他薦自薦もあり、幅広い取材ができるようになりました。5年間で350人もの方々にお会いし、誌面に登場していただきました。大先輩のさまざまな話を聞いてその生き様を知ると、「自分はまだまだひよっ子、これからもっとがんばらなあかん」と、エネルギーをもらいました。

坂野 僕は2013年秋号から編集長を引き継ぎました。「スペシャルト粋トーク」の対談は、プライベートやほかの仕事ではなかなか会うことのない大先輩からじっくりお話を聞けるという、毎回素晴らしい体験をさせていただきました。情熱あふれる人ばかりで、圧倒されそうでした。皆さんすごくお元気だし、考え方も柔軟で「年を重ねるごとに脳も筋肉も鍛えることが大切」と教えてもらいました。

副編集長 嘉納 泉
文・撮影 増田 めぐみ

増田 創刊のときから本当にいろいろな方にお会いでき、楽しい取材でした。ひとことで「シニア」といっても、大正生まれ、昭和一桁、焼け跡派、団塊の世代、幅広い年代の方がいらっしゃって、それぞれ人生の物語があります。特に「美味しい店」の取材でお会いしたご夫婦は、印象深いものでした。夫婦おふたりが歩んできた濃密な時間を感じましたね。

嘉納 いわゆる業界の有名人やほかのメディアにも紹介されるような方も取材しましたが、雑誌に載るのは初めてという一般の方々にもたくさん登場してもらいました。本誌を持って取材を申し込むと「皆さん立派な方ばかり載ってますが、私のような者でもいいですか」と謙遜なさいます。でも実際に会いに行くと、それぞれ「すごい人」なんです。きっと誰でも人生の物語を持っていらっしゃる。人に話すことで、ふだんは忘れていた幼少期や若い頃のことを思い出すのでしょう。人生を振り返るように、お話をしてくださいました。話を聞きながら、私は20年後にこんな風に語れるだろうか。と自分のこれからの生き方を毎回考えさせられました。

山口 私も創刊のときから編集に関わって、勉強になることがたくさんありました。一見、お元気に見える方も、お話を伺うと実は大病を乗り越えたとか、戦後や阪神・淡路大震災で大変なご苦労をされたとか、いろいろあるんです。でも、そんな苦労話もさらっと、淡々と語る。そんなところもすごいなあと思いました。今こうして振り返ると、皆さん、真を突いた深い言葉が必ずある。「わずかでも余命があれば、その間、充実した人生を送って、人生を使い果たすことができる」「一番へたくそな子を見つけて上達させる」。ひとつひとつの言葉が、私たち次の世代にとっては貴重な財産ですね。

文・撮影 山口 裕史
文・撮影 草葉 達也

草葉 私は2014年春号からお手伝いさせてもらい、「お宝拝見」のコーナーを担当しました。「表紙のひと」や「美味しい店」の取材もしましたが、皆さんお話が尽きない。こちらも面白くて聞き入ってしまうんだけど、一冊の本になって、本誌の記事ではとても書ききれないくらい。その中から、ひととなりや気持ちが伝わるように、印象的なエピソードや言葉を紹介したいと心がけました。

樫野 物語が長過ぎて、本誌の短い記事にまとめるのはスタッフは大変でしたね(笑)写真と合わせて、その方の生き方が少しでも伝わったのであればうれしいです。

利岡 僕は、リニューアルした2014年春号から前任者から引き継ぎ、デザインを担当させていただきました。取材が終わると写真と原稿が届きます。写真を選びながら、すごい人だなあ、こんな人もいるんだと感心して、毎号楽しみにレイアウトデザインしていました。

デザイン編集 利岡 正文

誌面を越えて広がるつながり

坂野 取材して掲載したらそれで終わり、ではなく、周年パーティーを企画して、編集スタッフと再会したり、登場していただいた方どうしつながりができたのも、本誌ならではですね。12月に開催した年忘れパーティーも50人の方に参加いただき、すごく盛り上った楽しい時間でしたね。

嘉納 シニア世代のコミュニケーション誌にしたいという思いもありましたが、予想以上に世代を超えて、幅広い方々にに支持していただいたと思います。読者からのおたよりも子ども世代や孫世代の人からもたくさん反響がありました。「私もこんなふうに生き生きと年を重ねたい」という内容も多く、うれしく思っています。

樫野 「裕ちゃんを探せ!」は一旦休刊となりますが、私が60才になるまでに復刊したいなぁと考えています。再会を楽しみに待っていてください。

一同 ご協力いただきました皆様、5年間ありがとうございました!!